御曹司のとろ甘な独占愛
 慧が離れると、近くで食事をしていた白人男性が、フランクな様子で伯睿に話しかけた。
 どうやら喋っているのはイタリア語らしい。
 伯睿も、古くからの親しい友達に接するように、流暢なイタリア語で対応している。まるで冗談でも言い合っているような態度だ。

 会話の内容も理解できず、本当に隣で微笑みを浮かべているだけになってしまった一花は、どうしよう、と伯睿を見上げた。

 そのアイコンタクトを伯睿が受け取るよりも先に、数人の美しい外国人女性たちがやってきて、伯睿を取り囲んだ。

 一人の女性が手に持っていたドリンクを伯睿へ手渡し、伯睿の周囲には人垣が出来る。セクシーなドレスに身を包んだ女性たちが、伯睿の腕をとった。そして、そのグループで乾杯の声があがる。

 一花は蚊帳の外に追いやられ、一人目を瞬いた。

(……まるで、外国のパーティーみたい…………。ダメだ……全然入れない)

 ぽつねんと立ち尽くしたまま、盛り上がりを見つめる。
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