御曹司のとろ甘な独占愛
“美しきもの”は地球の命の欠片である。無限ではない。
いつしか枯渇し、この世界から無くなる。
(命の欠片は使い捨てられるようなものじゃない! ……それを本当に理解して、大切にしてくれるお客様のもとへ、旅立ってほしいのに)
古風な考え方かもしれない。
けれど伯睿には、代々継がれ続けた劉家の経営方針の方が、よっぽど地球の“美しきもの”を大切に守れるように思えてならなかったのだ。
伯睿の眼から見れば、父は事業拡大ばかりを追い求めるあまり、新しい原石や裸石の買い付けは上手くいっていないように見えた。
些細ながら原石や裸石の品質にばらつきが出始めれば、社員たちはそれに甘んじなければいけなくなる。この先、彼らの誇る最高の仕事は完遂できなくなっていくだろう。
バイヤー、クラフツマン、デザイナー、販売員など貴賓翡翠内の連携が崩れ始めれば、将来、経営が少しずつ傾き始めることは想像にたやすい。
(……貴賓翡翠には時間がない。このままでは内外から、貴賓翡翠への信頼がなくなってしまう。早く、大人にならないと……!)
大切な人が亡くなった悲しみに暮れる時間は無かった。伯睿は単身、留学することを決意する。
いつしか枯渇し、この世界から無くなる。
(命の欠片は使い捨てられるようなものじゃない! ……それを本当に理解して、大切にしてくれるお客様のもとへ、旅立ってほしいのに)
古風な考え方かもしれない。
けれど伯睿には、代々継がれ続けた劉家の経営方針の方が、よっぽど地球の“美しきもの”を大切に守れるように思えてならなかったのだ。
伯睿の眼から見れば、父は事業拡大ばかりを追い求めるあまり、新しい原石や裸石の買い付けは上手くいっていないように見えた。
些細ながら原石や裸石の品質にばらつきが出始めれば、社員たちはそれに甘んじなければいけなくなる。この先、彼らの誇る最高の仕事は完遂できなくなっていくだろう。
バイヤー、クラフツマン、デザイナー、販売員など貴賓翡翠内の連携が崩れ始めれば、将来、経営が少しずつ傾き始めることは想像にたやすい。
(……貴賓翡翠には時間がない。このままでは内外から、貴賓翡翠への信頼がなくなってしまう。早く、大人にならないと……!)
大切な人が亡くなった悲しみに暮れる時間は無かった。伯睿は単身、留学することを決意する。