御曹司のとろ甘な独占愛
 秋の代表作は、大きなインペリアルトパーズと鸚緑色の翡翠が組み合わされているネックレスだ。

 『“美しきもの”へ永遠を誓う』というテーマに相応しく、落葉という一瞬の美をそこに閉じ込めたような作品に仕上がっていた。『紡ぐ永遠』から着想を得たジュエリーは、儚くも美しい時間を否応なく感じさせる。

 冬の代表作は、純粋なものだけで作られた少女の瞳のような氷翡翠と、透き通る南国の海のような色合いが美しいパライバトルマリンの花簪だった。

 パライバトルマリンは南国を連想する色だというのに、この組み合わせは何故だか、冬の冷たい空気の中に立っている気にさせた。

 パライバトルマリン宝石言葉は原点。
 テーマとして添えられた『運命はここに』という言葉と合わせて、「これは初恋をテーマに作られたのでは?」と宝石を鑑賞する人々は口々に言い合った。

 煌びやかな翡翠と宝石の、ロマンティックなストーリーを感じさせる世界観が広がる展示会を見学しながら、一花は感嘆の溜息をこぼさずにはいられなかった。


 とあるショーケースの前で、真紅のドレスを身に纏ったエレガントなマダムが、よく見知ったスタッフと話しているのを見つけて、一花は足を止める。
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