御曹司のとろ甘な独占愛
 その後は、パーティーの時のように伯睿の隣に付いて回ることになった。

「おぉい! 伯睿ー! 山越さんもー!」

 幾人かの関係者と挨拶を終えた時。日本貴賓翡翠の支社長・陳宥翔(チェン ヨウシャン)が、少し離れた場所から大きく手を振って近寄ってきた。
 スポーツ選手のような体格の青年がブンブン腕を振り回しているせいか、こちらまで凄く目立っている。

「ああ……あいつ……」

 伯睿が顔面を手のひらで覆った。
 彼は伯睿と一花の前まで来ると爽やかな笑みを浮かべ、「よっ!」と非常に軽い挨拶をした。

「山越さん、元気だった? 台湾での生活はどう?」

「はい、お陰様で。最近は中国語にも食べ物にも慣れてきて、毎日とても楽しいです」

「そっかそっか! で、御曹司は?」

「……宥翔」

 伯睿はスッと目を細めると、冷たい声音で陳支社長をいなす。

「ゴメン、ゴメン。だってなぁ? 気になるだろ?」

 けれど、そんな伯睿にビクともせず、陳支社長はケラケラと適当に笑っていた。

「あ、あのー、劉副社長と陳支社長のご関係は……?」

「俺と宥翔は幼馴染なんです」

 ふと、伯睿が以前言っていた「幼馴染の姉」という言葉が一花の脳裏をよぎる。ようやく全てが繋がった。ハッと弾かれるように、一花は陳支社長を見上げる。

「じゃあ、あの時から全部ご存知だったんですか!?」

「だから、すぐにクラフツマンは見つかるって言っただろ?」

 そう言って陳支社長はバチっとウィンクを決める。
 一花は「えぇええっ」と思いっきり脱力した。
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