御曹司のとろ甘な独占愛
 その頃、セレモニー会場の扉の外で、伯睿と一花は入場の時を待っていた。
 会場内からは、主催者挨拶として貴賓翡翠代表取締役である伯睿の父が、会場に足を運んでくれた皆様への感謝や、会社の歴史を述べる声が聞こえている。

「一花、俺の腕に手を添えて」

「こ、こう?」

 一花は伯睿の左腕に、右手を添えて軽く腕を組む。

「壇上に上がったら、俺は中央で挨拶をするので、一花は左側の『華翡翠』が並ぶ辺りで待機していて下さい」

「うん、わかった。でも、本当に一緒について行ってもいいのかな……?」

 眉毛を下げ、「やっぱり、私だけ客席に行った方が……」と困惑した表情で伯睿を見上げる。
 
「大丈夫です。今日は、そういう日ですから。ね?」

 伯睿は緊張する一花を安心させるように言うと、腕を組んだのとは反対の手で、一花の頭を優しく撫でた。
 一花はまだ納得できていないように頷く。

 その時、代表取締役挨拶が終わった会場内で拍手が起こった。

「それでは、十年間秘められていた『華翡翠』コレクションの制作者を紹介させていただきます。『華翡翠』コレクション代表責任者──劉伯睿副社長です。劉伯睿副社長、どうぞ!」

 扉が盛大に開かれ、眩しいほどのフラッシュがたかれる。拍手喝采の中、セレモニー参加者達の歓声が響いた。

 一花は目の前の景色に圧倒されながら、壇上を目指す伯睿の隣を歩く。
 壇上には、今日の主役である指輪が輝くショーケースが飾られていた。
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