御曹司のとろ甘な独占愛
「少し昔話をしますが……」

 ひとつ前置きをすると、伯睿は時間の流れを感じるかのように瞼を閉じた。
 頬に長い睫毛の影が落ちる。

 そして瞼を開いた瞬間。黒橡色の双眸には、愛おしさであふれるような甘く柔らかな虹彩が煌めいた。

「……私は幼い頃、一人の“美しき者”に恋をしました。彼女と出会った瞬間、あまりの眩しさに、言葉で言い表せないほどの幸福感に包まれた……」

 伯睿は、遠くにある眩しい光を見つめるかのように、優しく目を細める。
 その美しい表情に、誰もが心を奪われた。

 一花は、密かに息をのんだ。

 自分へ語りかけるような言葉に、心臓がドキドキと早鐘を打つ。

「今でもその瞬間は、私の中で永遠に生き続けています。あれが、“愛”を感じた瞬間なのだと――」

 伯睿は静かな足取りで壇上を移動する。
 展示されていた『華翡翠』コレクション十作目のショーケースを開くと、ショーケースの中から指輪を持ち出した。


 そうして伯睿は一花の前へ歩み寄り――まるで王子様のように、膝をついた。


 伯睿を追いかけるように、ライトが指輪を照らし、一花を照らし出す。

 キラキラとした光に包まれた世界で、一花は目を見開いた。
 ドキドキと鳴る鼓動が、身体中を熱くする。
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