御曹司のとろ甘な独占愛
 ◇

 八月の台北は、蒸し暑い。ギラギラと照りつける太陽が地面に反射し、上からも下からも皮膚を焼いた。
 そんな暑さから逃れるため、伯睿と一花は台北郊外・北投にある劉家の邸宅へ来ていた。

 温泉地で有名な山の麓を切り崩した広大な敷地の中には、豪壮な二棟の邸宅が建てられている。本邸は伯睿の両親が所有しており、祖父母が建てた離れは現在伯睿が所有していた。

 祖父母が愛した離れの敷地内には、荘厳な岩造りの温泉が掘られ、中庭には祖父が手ずから造り上げた壮麗な日本庭園があった。

「わ~っ! 素敵なお庭! 温泉もっ!」

 まるで日本のような景色に心を打たれる。一花は少女のようにはしゃぎ回らずにはいられなかった。
 ここへ到着してから終始そのような様子の彼女を、伯睿は微笑ましく眺めている。

「一花、まずはここでの装いを決めたいので、中に入りましょう」

「はーいっ」

 温泉に興味津々な一花の腰を引き寄せ邸宅内に一旦戻ると、伯睿は彼女を応接間へと案内した。
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