御曹司のとろ甘な独占愛
 月明かりだけに照らされている壮麗な日本庭園は、厳かな雰囲気に満ち満ちている。

「一花。こっちです」

 名を呼ばれて、静かに顔を上げた。
 檜の縁台に腰掛けた伯睿が、柔らかな笑みを浮かべながら手招きをしている。

 濃紺の浴衣を身に纏った伯睿は、いつにも増して端麗な美貌が艶やかで、少し見つめるだけでもトキメキで胸が苦しくなるほど美しかった。
 一花は伯睿の隣に腰掛けてみたものの、ドキドキし過ぎて上手く彼を直視することができない。

「おかえり。温泉はどうでしたか?」

「うん! とっても気持ち良かったよ」

 微笑む一花の両頬を、「ほかほかですね」と伯睿は手のひらで包んだ。
 伯睿は手のひらに吸い付くような頬から、一花の首元へ手を滑らせながら、熱っぽく唇を開く。

「……次は俺も、一緒に入りたいです」

「へっ!? えっ、と……。あっ……」

 低く甘い声音で誘うように言われて、一花は顔を真っ赤にする。

 男性と一緒にお風呂に入った経験など無かったので、伯睿と一緒に入ると想像しただけでもドキドキした。しどろもどろになって、あたふたと狼狽える。

「…………はい、一緒に」

 羞恥心で赤く染まった目元のまま、消え入りそうな声で小さく呟く。
< 210 / 214 >

この作品をシェア

pagetop