御曹司のとろ甘な独占愛
 一花がエントランスへ向かうと、すぐにドアマンがやってきて、ロックの掛かった重厚なドアを内側から開いてくれる。

「いらっしゃいませ。劉様のお客様とお伺いしております。どうぞ、こちらへ」

「あ、ありがとうございます」

 一花はぺこぺこと会釈をして、案内されるがままロビーのソファに腰掛ける。

 そこは豪華絢爛という言葉がぴったりだった。

 二層吹き抜けの天井にはシャンデリアや照明が美しく設置され、洗練されたデザインの大理石壁が美しい。
 中央には季節の花々が活けられており、その周りには応接用のソファやセンターテーブルがいくつも並んでいる。

 慣れない空間に忙しなく視線を巡らせていると、フロントコンシェルジュがドリンクを持ってやって来た。

「劉様をお待ちの間に、お飲み物をどうぞ。私どもの中にも日本語が少し話せる者がおりますので、ぜひお気軽にお声がけ下さいませ」

「あ、はい! ありがとうございます……!」

 一花はしきりにぺこぺこするばかりで、どうしたらいいのかわからなかった。「いただきます」と、オレンジジュースが注がれているグラスに口をつける。

 その後も背筋をピンと伸ばしてグラスを持ったまま、伯睿の迎えを今か今かと待ちわびていた。
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