御曹司のとろ甘な独占愛
『季節の翡翠』コレクションとは違い、ハイジュエリー・コレクション『華翡翠』は貴賓翡翠の広告塔として作られた非売品だ。
デザイナーも価格も共に非公表で、十年前から年に一つずつ発表されている。その作品の価格は時価にして数千万円、時には一億円近くだと噂されていた。
新作の発表は大体七月中に行われ、パリコレなどで注目を集めるらしいが、一般には秋冬コレクション・カタログの表紙として浸透している。
創業者の心を紡ぐというというコンセプトのもと、かつて創業者が大切にしていた言葉、“美しきもの”から着想を得たコレクションは、全て植物がモチーフにデザインされていた。
世界中に多くのファンが存在し、本物をその目で見て見たいと熱望しているが、パリで行われる新作展示会以外でお披露目されることはない。
貴賓翡翠の最高ランクの顧客ですら、個人的にそれを見ることはできないそうだ。
どこどこの大富豪が購入したとか、大株主しか購入できないとか噂は色々と絶えないが、それが真実なのかどうかは一花には知ることもできない世界だった。
今年十周年を迎える『華翡翠』コレクションの記念すべき十作目には、特に注目が集まっている。きっと何か驚くべき仕掛けがあるに違いない! と、各方面からの期待感が高まっていた。
もちろん一花も、人生で一度は『華翡翠』コレクションをこの目で見てみたいと思っているが、一販売員にそのような幸運が訪れることは稀だろう。
「『華翡翠』コレクションを常盤様にお見せすることができなくて、非常に残念です……っ!」
「いつか機会があったら、ぜひ私を呼んでちょうだいね! 絶対よっ!」
「もちろんです!」
お互いに手を握り合う勢いで、熱く頷きあう。
デザイナーも価格も共に非公表で、十年前から年に一つずつ発表されている。その作品の価格は時価にして数千万円、時には一億円近くだと噂されていた。
新作の発表は大体七月中に行われ、パリコレなどで注目を集めるらしいが、一般には秋冬コレクション・カタログの表紙として浸透している。
創業者の心を紡ぐというというコンセプトのもと、かつて創業者が大切にしていた言葉、“美しきもの”から着想を得たコレクションは、全て植物がモチーフにデザインされていた。
世界中に多くのファンが存在し、本物をその目で見て見たいと熱望しているが、パリで行われる新作展示会以外でお披露目されることはない。
貴賓翡翠の最高ランクの顧客ですら、個人的にそれを見ることはできないそうだ。
どこどこの大富豪が購入したとか、大株主しか購入できないとか噂は色々と絶えないが、それが真実なのかどうかは一花には知ることもできない世界だった。
今年十周年を迎える『華翡翠』コレクションの記念すべき十作目には、特に注目が集まっている。きっと何か驚くべき仕掛けがあるに違いない! と、各方面からの期待感が高まっていた。
もちろん一花も、人生で一度は『華翡翠』コレクションをこの目で見てみたいと思っているが、一販売員にそのような幸運が訪れることは稀だろう。
「『華翡翠』コレクションを常盤様にお見せすることができなくて、非常に残念です……っ!」
「いつか機会があったら、ぜひ私を呼んでちょうだいね! 絶対よっ!」
「もちろんです!」
お互いに手を握り合う勢いで、熱く頷きあう。