妄想は甘くない
「……これでもリーダーだから、部署の中が円滑に回るように、適切に業務を割り振るのも仕事だと思ってました」
何かに突き動かされるように声になる言葉を止められずに、ローテーブル上の一点を目に映したまま、呟きは続いた。
「だけど実際適切じゃなかったのかもしれない。わたし、間違ってたのかな……」
涙を堪えるあの子の顔が鮮明に蘇り、脳裏に震えた声がこだまする。
『……助けて貰えないんですか?』
そこで何かに引き寄せられたように、不意に気付いた。
──違う。わたしは、助けないと言ったんじゃない。
助けて欲しいと言ったんだ。あなたには出来るだろうと、期待したから。
福地さんに伝わらなかったことが悔しく、唇を噛むと目の奥から込み上げて来る何かを感じ取った。