妄想は甘くない
電車に揺られ家へと到着すると、いつものようにミルクたっぷりの紅茶を淹れて一息つく。
クッキーを摘みながら改めてアプリを開き、好奇心から登録した大神さんのプロフィール写真を拡大してみた。
先程は小さくてよく見えなかったが、学生時代の仲間だろうか、数人で写っている画像にぎくりと汗が流れた。
いかにも気のおけない和気藹々とした雰囲気、そして皆厚着をしていてはっきりとは解らないが、女子も含まれているように見受けられた。
言わずもがな、この人はリアルが充実している類に入るに決まっている。
考えてみれば彼女がいるだのいないだの、信憑性のない憶測が飛び交っており、真相は釈然としない。
頭を過ぎった瞬間から眉根が寄って来てしまい、スマートフォンを睨み付けると身勝手に劣等感を募らせて、嘆息を吐いた。
そのまま何となしに視線を滑らせた大神さんの欄の下方に、結婚式の写真が映り込んだ。