軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「お前には詳しく話していなかったな」
両側の肘置きに金の龍の彫刻、背もたれと座面には深紅の革張りを施した王座は、この広間の中に揃えられたどの調度品にも敵わない存在感を放っている。
セレアは多くの将や大臣たちに囲まれる中、悠々とそこへ腰かける男へと視線を向けた。
「俺はイザナギ帝国、第十四代皇帝レイヴン・ヴォルテールだ」
「なにも知らずに、失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした!」
その場に膝をついて、床に額が擦れそうなほど頭を下げる。
ふと彼が立ち上がったのが、気配でわかった。コツコツと高級な革製の長靴を鳴らしながら、セレアの目の前で立ち止まる。
「お前はそのままでいい」
「え?」
見上げようとしたのだが、その前にレイヴンが目の前に片膝をつく。
その瞬間に広間には「皇帝陛下が膝をつかれたぞ」、「あの方はどこの皇女か!」と、どよめきが起こる。