軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「セレアは命の恩人。そして、俺がカエトローグ島から攫ってきた大切な女性だ」
そのひと言に、「絶対不可侵の島からですと!?」と、どよめきは混乱に変わる。王座の隣に立つべリエスは眉間を指で揉みながら、深いため息をついていた。
「俺は彼女を妻に迎える」
「えっ」
今度は私が狼狽する番だった。
(妻って、どういうこと?)
ついさきほど、彼が皇帝だという事実を受け入れられたばかりだ。なのに、今度は自分が彼の妻……つまり、皇妃となるなんて誰が予測できようか。
まったく話についていけず、いよいよ頭を抱えたくなっていると、レイヴンの顔が近づいて耳元に唇が触れる。ふいうちの接触に心臓がざわついた。