軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


 式を挙げた夜、この国では初夜で心身ともに結ばれることで夫婦と認められるため、セレアも例外なくレイヴンの部屋に連れてこられた。


 この部屋には数十分前に来ていたのだが、扉の前に立ち尽くしたまま動けずにいる。


(島を出てこの宮殿にやってきて、いきなり結婚。ただでさえ怒涛の日々が続いているというのに、もう初夜だなんて……)


 心の準備なんて、できるわけがなかった。


固まっているセレアに対し、レイヴンは天蓋つきの寝台に腰かけて、なにやら考え込むように目を閉じている。


 お互い婚礼衣装のままで、着替えることもせず沈黙だけが続いていた。


いたたまれなくなったセレアは、逃げ出したい気持ちから気を逸らすように部屋の中を見渡す。


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