軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「お前には、好いた男がいるのか?」


(好いた男? レイヴンはなにを言っているの?)


 向けられた冷たい眼光。怯えてなにも答えることが出来ずにいると、レイヴンの眉根が不愉快そうに寄る。


「俺ではなく、別に想う男がいるのかと聞いている」


 咎めるような言い方に、セレアは困惑していた。


(どうしてそのようなことを聞くの? 私が好いているのは……)


 そこまで考えてハッとする。


 彼に惹かれているのは事実だったが、どういう種類の好意だったのかは不明だった。


けれど今その答えが胸に、ストンッと落ちてきた気がする。

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