軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「幼馴染のアグニか? 別れ際、随分泣きはらした顔をしていたからな」
こうやってほかにが好きな人がいると勘違いされて胸が痛み、匿うためだけに迷わず結婚を提案してきた彼に傷ついた理由がやっとわかった。
(そうか私、いつの間にかレイヴンが好きになっていたのね)
だから彼が自分を愛していないことを証明するような発言を聞くたびに、こんなにも胸が痛むのだ。
「私にほかに愛した人がいたとしたら、レイヴンはどうするのですか?」
(それでも、私を離さないと言って。私だから妻に選んだのだと、そう思わせてくれるような言葉が欲しい)
簡単に手放さないで、強く繋ぎとめてほしいという願いから、試すような言い方をしてしまった。