軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「レイヴン、あなたの優しさは毒のように私を苦しめるのね」

「なん……だと……?」

「ここを出ていきます」


(もう、耐えられない。こんなに苦しい想いをするくらいなら、あの神殿にいたほうがずっと楽だったわ)


 助けてもらったのに、なんてことを考えているのだろうと思う。けれど胸の中のモヤモヤが消えず、この憤りをどこへぶつければいいのかがわからなかった。


 セレアははだけたドレスを整えて、目に涙を浮かべながら寝台を出ようとする。


しかし、レイヴンに手首をつかまれて、瞬く間に後ろから強く抱きすくめられた。


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