軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「勝手にいなくなることは、許さない」
「私はもう自由よ」
(レイヴンにさえ、それは奪えない)
怒りを滲ませて答えると、抱きしめる腕に力がこもる。
「カエトローグ島の追っ手が、お前を連れ戻しにくるのかもしれないのだぞ。ひとりでは戦えないのだから、お前は俺に保護されていろ」
(ああ、やっぱりあなたは愛などではなく、親切心で私を妻にしたのね)
言葉を交わすたびに虚しい現実を突きつけられるくらいなら、もうレイヴンとは話したくない。
「お願いだから、離して」
「わかった、だが宮殿から出ていくことは許さない」
こちらを一切見ずに淡々と告げると、彼はセレアの上から退く。