軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「レイヴン!」
「お前は俺の妻のまま、ここで健やかに過ごせ。初夜は……」
言いかけたレイヴンは自分の親指の皮膚を噛みちぎり、滲んだ血をシーツに擦りつけて手に抱えた。
「これを証拠に済ませたと報告する」
感情の起伏を感じさせないあっさりとした口調でそう言うと、彼は寝台を出る。
「待ってください!」
扉へ向かってスタスタと歩いていくレイヴンの背に声をかけるも、聞く耳持たずに部屋を出て行ってしまった。
バタンッと扉が閉まる音が、やけに大きく響く。呆然と寝台に腰かけていたセレアの目からは、大粒の涙が零れ落ちていった。