軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「ううっ」
(どうして好きになってしまったの)
恩返しだからと、割り切れた方がずっと楽だった。
けれど、気づいたら彼を好きになってしまっていたのだ。
あの牢獄のような場所から自由にしてくれて、時には剣を手に戦い守ってくれた人。
初めて、神殿の掟に縛られるセレアの心を救おうとしてくれた存在。そんな彼を好きにならないはずがなかった。
「私を愛して、レイヴン……」
ただそれだけを望みながら、ひとり残された寝台でセレアは声を殺しながら泣き続けたのだった。