軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「うるさいぞ、この〝変態〟軍事司令官」
「酷い扱いだな」
凍るような視線で一喝するレイヴンにアグニは空笑いで頭を掻いていた。
彼が〝陛下〟という言葉に驚かなかったところを見ると、すでにレイヴンの正体を知っているようだ。
「セレアは俺の妻だ。誰であろうと触れることは許さない」
「妻? きみはイザナギ帝国の皇帝と結婚したのか?」
不意打ちに合ったような驚愕の表情で、アグニがこちらを見上げてくる。
(妻にはなったけれど、形だけよ)
それが心に引っかかり、曖昧に微笑んで首を縦に振ることしかできなかった。