軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「だが、どうしたらお前を傷つけないでいられる?」

「あっ」


 レイヴンの顔が傾き、熱い吐息がセレアの唇を撫でる。バクバクと鳴り出す心臓の音が、この広間に響き渡ってしまいそうで恥ずかしかった。 


「気を抜けば、お前を壊れるまで奪ってしまいたい衝動に駆られてしまう」


(なら、いっそのこと奪ってほしい)


 唇が触れるか触れないかの絶妙な距離で見つめ合いながら、そうすれば彼の特別になれるのだろうかと考える。


「だが、お前がどうしても俺から離れたいというのなら、引き留めない」


(どうして……)


 ズキンッとレイヴンの言葉が胸に突き刺さる。今日も、彼の優しさは研ぎ澄まされた刃のように痛い。


優しくされたいわけじゃない、壊れてもいいから、強く求めて欲しかった。



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