軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「あれから色々考えて、お前の幸せを願える男でいたいと……」
(なら、どうして俺が守ると言ってくれないの?)
ほかの誰かではなく、レイヴンと幸せになりたかった。近づいたと思ったら、すぐにこの人は離れていく。
心の中へ入れてくれないことが寂しくて、胸の中をごちゃ混ぜにされたように苦しくなった。
「泣いているのか?」
目を見張ったレイヴンに言われて自分の顔に触れてみると、頬が湿っているのに気つく。
(気づかなかったわ、いつの間に?)
胸の痛みに気を取られていたのだろう。視界がぼやけていたことにすら、今頃になって自覚したのだから。