軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「ふ、んんっ」
息継ぎの間も与えられないまま、貪るように唇を吸われる。
(今、レイヴンはなにを考えているの?)
焦りや憤りをぶつけるような接吻に、心がじわりと冷えていく。愛ゆえの行為なら、これほどまでに虚しい思いはしなかっただろう。
彼のなにもかもが理解できず、耐えきれなくなったセレアはその胸を力いっぱい押した。
「っ、離して!」
その腕の中から飛び出すと、セレアは振り返らずに出口を目指す。広間を出る瞬間まで、引き留める声はかからなかった。