軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


***


 セレアが逃げるように出て言った広間で、レイヴンはひとり立ち尽くしていた。


 今まで触れていた彼女の温もりが消えて、吹雪の中に取り残されたような寒さを覚える。


「なにが幸せを願いたい、だ」


(結局、俺はセレアに手を出しているではないか)


 一度その肌に触れてしまえば、自分では止められないほど夢中で貪りたくなる。熱に浮かされたように思考回路が働かなくなり、なにも考えられなくなってしまうのだ。


 ある意味、中毒のようなものだと乾いた笑みを浮かべた。


「側にいればいるほど、セレアを傷つけてしまう」


(狂おしいほどに、愛しい)


 体の中で暴れまわる恋情の怪物に耐えるように、胸元の服をグッと握りしめる。


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