軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「パゼル帝国は今まで史上最多の兵数で攻め入ってきました。ここで決着をつける気でいるのでしょう。今回は長引くと思われます」
(そんな……)
事態はかなり深刻らしく、話を聞けば聞くほど不安ばかりが募っていく。自分から聞いたのに、今更知らなければよかったなんて、勝手だ。
けれど、それだけ彼が危険な場所で戦っているのだと思うと、たまらなく怖くなったのだ。
「なぜ、ふたつの国は争っているのです?」
「陛下が生まれる前から続いている戦。理由などなく、どちらかが勝つまで続くのです」
(そんなの、無意味な争いだわ)
たとえ自分の両親の代から続いている戦なのだとしても親は親でしかなく、子は子。遺恨の念まで受け継ぐ必要なんて、どこにもない。