軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「話し合う段階には、もうないのです」


(お互いに聞く耳持たずということね)


 けれど、セレアは大切な人を戦に奪われることだけは嫌だった。


 唐突に両親との繋がりを奪われたセレアの過去が、この理不尽な状況を受け入れてはいけないと強くそう思わせる。


 なにより、危険を冒してまで自由をくれたレイヴンのために、今度は自分にできることを命懸けでしたいのだ。


 いつも受動的で抗うことをしてこなかったセレアを、そんな強い思いが突き動かしている。


「この戦に賛成する民などいるのでしょうか?」


(両国の民を集めて、ふたりの皇帝を説得できないかしら?)


 もちろん、民が戦に反対していたとしても、命が脅かされる恐怖から関わりたくないと言うのなら難しいだろう。


< 161 / 281 >

この作品をシェア

pagetop