軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


(早くあなたに会いたい)


 この中にレイヴンがいると思うと、怖くてたまらなくなる。自分の命よりも彼を失うことの方がずっと恐ろしくて、すぐにでも無事を確かめたい気持ちだった。


「皇妃様、いよいよですね」


 何度も危険だからとセレアを引き留めた護衛兵だったが、聞く耳持たないセレアに止めても無駄だと悟ったのか、最終的には作戦に力を貸してくれていた。


 崖の先端に立っていたセレアは振り返って、集まった両国の民たちの姿を見つめる。


「ええ、ここまでついて来てくださって、ありがとうございます」


 ここには約三万もの民が志をひとつにここにいる。


 パゼルの民に会うには、もちろん入国しなければいけない。


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