軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「始め!」
護衛兵の号令で一気に箱が傾けられ、白い花びらが風に乗り戦場に降り注ぐ。それは花の雨のように争う兵士たちの元へ舞い降りた。
案の定、「なんだこれは!」、「花?」というどよめきが両軍から起こり、剣を振るう手が止まっていく。
戦場の砂埃と怒号が止むと、今度はこの場に似つかわしくない、優雅な演奏が鳴り響いた。
この戦争を止めるために両国の音楽団から演奏者が寄り集まって、一緒に楽器を奏でてくれている。
芸術の国であるイザナギ帝国で音楽を学びたいというパゼル国民もおり、ふたつの国が手を取り合えば、こうして人の心も生活も豊かになることを証明してくれていた。