軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「なにが、どうなっているのだ!」
「あれはセレアか!?」
パゼルの皇帝とレイヴンが騒ぎを聞きつけて、崖の前にやってくる。こちらを見上げたレイヴンは、驚愕のあまり言葉を失っているように見えた。
「始めましてパゼル国の皇帝陛下、それから……久しぶりですね、レイヴン」
勝手にここへ来たことに申し訳なさもあり、肩をすくめながら微笑む。
けれど、すべては両国の民と最愛の夫のためなので、後悔はまったくなかった。
「セレアがなぜここにいる」
レイヴンの咎めるような視線が、隣に立つ護衛兵に向けられる。
咄嗟に「申し訳ありません!」と平伏した彼を庇うように立った。