軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「レイヴン陛下、俺はイザナギ帝国の芸術も好きだけどパゼル国の農業が学びたいんです」
そう、これはパゼル国の民から聞いた話だが、この国は自然を重んじて近代的な土地の開拓はせずに農業や放牧などで国の資源を生み出している。
「私は逆よ。本場のイザナギ帝国で、服の装飾の勉強がしたいわ」
対するイザナギ帝国は芸術面で職人を多く輩出しているためか、町の路面が石畳でできていたり、独特な音色で国民に時を知らせる時計台や川にかけられたユニークな石橋が前時代にはない新鮮さを放っている国なのだ。
「耳に痛い意見ばかりだな」
「だがガンネル皇帝、これが民の声なのかもしれん」
それらを聞き届けたふたりの皇帝が思案顔で視線を交わす光景を見て、セレアはもうひと押しだと一歩前に足を踏み出した。