軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「これまでに戦場で散った兵たちを思えば、申し訳ない気持ちも正直ある」

「だがガンネル皇帝、今を生きる民や兵が新しい道を望んでいるのだぞ」


 レイヴンの言葉に苦渋の決断を下すように、ガンネルは頷いた。


「貴殿の言う通りだ。過去ではなく今を見よう」

「先代から続く戦争に共に終止符を打とう、ガンネル皇帝」


 ふたりの皇帝が歩み寄り固く手を繋ぐ。今この瞬間から、ふたつの国は手を取り合って生きる道を選択したのだ。


「セレアと申したか、そなたは戦場に颯爽と現れた聖女のようだな」


 ガンネルが去り際にこちらを見上げてそう言った。それを聞いていたレイヴンが隣でふっと笑みをこぼし、首を横に振る。



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