軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「セレア」
皆の笑顔を温かい気持ちで見守っていると、崖の下からレイヴンが両手を広げて名前を呼んだ。
その意図を察したセレアは、恐怖など微塵も感じずに、そこから飛び降りる。
下から吹き上げるような強風に、白銀の髪が天の川のように宙へと靡く。ドレスの裾が羽音を鳴らすようにはためくと少しの浮遊感ののち、セレアの体はたくましい腕に抱きとめられた。
「戦場でお前の姿を見たとき、肝が冷えたぞ」
「ごめんなさい、でもレイヴンを死なせたくなかったの」
彼の首に腕を回して、その存在を確かめるように強くしがみつく。そんなセレアの不安を感じ取ってか、強く抱きしめ返してくれた。