軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「そのままでいいから、聞いてほしい」
魅力的なバリトンの声に耳を澄ませて「はい」とそれだけ答えると、大切な人の一言一句を聞き逃さないように意識を集中させた。
「俺は言葉足らずだからな、伝わっているのかはわからないが……」
迷うように間が空き、レイヴンが深く息をつく。
なにを言われるのかが気になって、早く先が聞きたい気持ちになった。それでも急かさなかったのは、彼が聞いてほしいと言ったから。
言葉少ない彼がわざわざ伝えることを宣言したのは、隠したい心の内を話す決意をしたためだろう。
(なら私は、レイヴンの言葉をどれほどの時間がかかっても待とう)
そんな湯水のような温かい気持ちがあふれてきて、さらに彼へ身を寄せた。