軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「お前を娶ろうと思ったのは、単に匿うのに都合がいいと思ったからだけじゃない」
「――え?」
ずっと、彼の親切心で妻にされたのだと思っていた。信じられない思いで瞬きを繰り返し、少しだけレイヴンから体を離すとその顔をまじまじと見つめる。
目が合うと、彼は落ち着かない様子でスッと視線を逸らしてしまう。不思議に思って首を傾げると、レイヴンは仕切り直すように咳払いをした。
「俺は知らず知らずのうちに、お前を傷つけていただろう。すまなかった」
「そんなこと……」
正直、彼の言葉に何度涙を流したかわからない。素直な性格がそれを肯定するように、動揺として顔に出てしまったようだ。
レイヴンがセレアの顔を見て、「気にしなくていい」と苦笑いする。
でも彼の言葉に心が揺れて傷つくのも、すべては愛ゆえなのだ。