軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「今日、お前が危険の中に身を置く姿を見て、生きた心地がしなかった。失いたくないと激しく思った」
長年剣を握り続けてきたレイヴンの硬い指の感触が、頬の輪郭をなぞる。まるで壊れ物を扱うような優しい手つきに、嬉しさとなぜか切なさが胸を支配する。
「つまり……だな。お前を愛している」
(ああ、なんだろうこの気持ちは)
生まれて初めて、なにを引き換えにしても手に入れたいという渇望を知った。
自分の中にこんなにも荒々しい感情があったことに驚きもあったが、今はこの貪欲な想いさえ愛おしい。
セレアはほとんど無意識に、彼の精悍な顔へと手を伸ばしていた。砂埃に黒くなるその頬を、シラユリの如く白い指で拭ってあげる。