軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


お互いに愛し合っていると再確認してからというもの、繕っていたものがどんどん剥がれてしまっているようだ。


 ただ夫といえど皇帝なので、失礼がないようにしなければな、と最近は悩んでいる。


「きみは今、幸せかい?」

「ええ、幸せよ」


 その言葉に迷いなんて微塵も感じずに、言い切った。それを聞いたアグニは少し寂しそうな顔をして、セレアの頭にポンッと手を乗せる。


「あの人になら、きみのことを任せられる。俺があの島を出られたのも、レイヴンが兵を送り込んでくれたおかげだからな」

「え、そうなの?」


 レイヴンはアグニを救うために兵を向かわせたことなんて、ひと言も話さなかった。


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