軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「お前たち、なにをしている」


 そこには顔の底に静かな怒りをたたえ、冷淡な視線を向けてくるレイヴンがいた。


「これは、違っ」
 咄嗟に手を引き抜こうとすると、すんでのところでアグニに引き留められる。驚きに目を瞬かせていると、後頭部に手が当てられた。


(え、なに!?)


 なにがなんだか、思考が追いつかない。気づけば、アグニの胸元に頭を押しつけるような形で抱きしめられている。この胸にあるのは、ただただ動揺の二文字だけだ。


「俺の妻とわかっていての狼藉か!」


 強い語調から、煮えたぎるような怒りの感情がビリビリと伝わってきて、セレアはビクリと肩を震わせる。


(勘違いされてしまったら、どうしよう!)


 強くアグニの胸を押し返すも、温厚な彼からは想像できないくらいに強い力で抱きすくめられて離れられない。


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