軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「俺の宝である彼女を、あなたは生涯守り切れると誓えるのか?」


(アグニ、なにを考えているの?)


 こんなに強引な彼を見るのは、初めてだった。それこそ、十六歳で聖女として神殿で暮らすまでは、生まれたときから一緒だったのだ。


なのに、幼馴染のセレアでさえ知らない顔が、彼にあったことに衝撃を受ける。


「そのようなこと、言われずとも答えは――」


 言いかけたレイヴンの手が伸びてきて、セレアの腕を掴む。その瞬間、アグニはふっと柔らかな笑みを浮かべて、セレアの拘束を解いた。


 力強く引き寄せられて、瞬く間にレイヴンの腕の中へとおさまる。ここが初めから自分の居場所だったかのような安心感に、ホッと息をついたときだった。


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