軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「無論、守れるに決まっている、だ」
どこまでもまっすぐに吹き抜ける風のように、レイヴンは断言する。そして間髪入れずに、二の句を告げる。
「俺の命がある限り、セレアの心も体も俺が守り抜く。幼馴染であり彼女を大切に想うお前の心にも、今ここで誓おう」
それを聞き届けたアグニは、憑きものが落ちたような諦念のこもった笑みを浮かべて、セレアに視線を向けた。
「俺を振ってくれないか」
「アグニ……」
傷つきたくないからと、気持ちを伝えないのは卑怯だ。彼だけが胸元を締め木にかけられたような苦しみを味わうなんて、不公平だ。
そう、答えを出しても出さなくても、彼の気持ちに答えられない時点で傷つけることには変わりない。
断腸の思いだが、お互いが前に進むために必要なことなのだろう。その考えに至ったセレアは、震える声で「わかったわ」と答える。