軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「まずはその敬語からなくせ」
「へ?」
なぜそのような話になるのか、と思わず気の抜けた声が出てしまう。
「アグニとは敬語がなく、親しげだった」
「まあ!」
(そのような理由だけで?)
驚きが隠せずにいると、レイヴンが腰を引き寄せて距離を縮めてくる。首を大きく後ろに倒し、彫刻のように美しい彼の顔貌に見惚れた。
何度見ても慣れない。心臓が尋常じゃない速さで鼓動し、苦しげに息を吐きだした。