軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
その夜、多くの貴族が舞踏会に招かれて、宮殿は賑わっていた。
話によると、町でも祝祭が行われているらしい。平和への一歩を歩み始めたことに、国民も実感してくれていることが、セレアは嬉しかった。
イザナギ帝国の格調高い芸術性を受けた広間の階上席では、音楽演奏が行われており、壁が金の装飾で縁どられているせいか、まるで絵画を彷彿させる。
また、ぐるりと周りを囲む柱のひとつひとつにはフレスコ画が飾られ、格間天井は煌びやかさの中にも落ち着いた雅な印象を与えた。
「美しいな、皇妃よ」
広間の入り口で立ち尽くすセレアの前に、眩しいシャンデリアの光を浴びたレイヴンが現れる。
彼は金の飾緒、龍の刺繍が袖口に施された紺の礼装用軍服を身に着けている。いつもの黒い軍服とは違って、華やかさが増して見えた。