軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「こちらへ来い」


 促されるように彼のそばへと歩いていく。その凛然とした姿に反して、優しい眼差しで微笑みを浮かべる彼に、セレアの心臓は今にも破裂してしまいそうだった。


 彼はこの世の者とは思えないほど、たくましくて美しい。皇帝としての気品に加えて、華やかさもある。


こんなに素敵な人が本当に自分の夫なのか、夢を見ているんじゃないか。不安は底なしにわいてくる。


「なにを悩んでいる」

「あ、ちゃんとレイヴンに釣り合っているのかなって」


(あなたが眩しすぎて、夫婦の実感がわきません。だなんて、恥ずかしくて絶対に言えない!)


 レイヴンに行ったことも本当なので、嘘は言っていない……はず。


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