軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「今宵は満足するまで踊りあかし、ふたりにとって忘れられない夜にしよう」
差し出された手を取れば、広間の中央にエスコートされる。体を寄せ合って見つめ合えば、優雅な音楽に合わせて彼に導かれるまま体を揺らした。
セレアがダンスを覚えたのは、舞踏会が決まった一ヶ月前のことだった。セレアはもともと町娘だったので、当然ダンスの心得はない。
レイヴンも最初は妻を娶る気がなかったため、そういった皇妃教育のことに気が回らなかったのだとか。
ふたりで慌てて前皇妃様にお願いをして、舞踏会で困らない程度のマナーやダンスのレッスンを受けることになったのだが……。
とはいえ付け焼刃なので、出来るのはテーブルマナーにダンスもワルツのみ。まだまだ立派な皇妃への道のりは遠い。