軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


 人の背を悠々と超える大きな扉がふたりがかりで開け放たれていき、溢れんばかりの太陽の光がセレアの体を包み込む。


「くれぐれも、立場をお忘れなきよう」

「心得ています。私は……〝聖女〟ですから」


(そして、あなたの人形でしょう?)


 心の内で皮肉を言いながら、光で先の見えない楽園へと足を踏み入れる。背中越しに扉が閉まる音が聞こえると、ちょうど木々の陰に入ったのか、ようやく視界が晴れた。 


 この神殿の天井や壁、柱はアルビノの獅子にちなんで白に統一されており、楽園の中央に設置された噴水や獅子神の定位置である大理石の上座も例外ではない。


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