軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「だから改めて、今ここで伝えようと思う」
「え?」
なにをだろうと思考の歯車が回るも、彼の意図はわからない。ただ向けられる曇りのない視線に、大事な話をこれからするのだろうことは想像できた。
セレアは手に汗を感じながら、緊張の面持ちで距離を詰めてくるレイヴンを見上げる。
「我、レイヴン・ヴォルテールは」
汚れることも気にせずに地に片膝をつき、右手を胸に当てて恭しくこちらを見上げてくるレイヴン。まるで、プロポーズのようだとセレアの胸はときめいた。
「セレア、あなたを心より愛している。どうか、我が妻となり添い遂げてほしい」
レイヴンの手が差し出される。乞うような彼の仕草に、心臓が破裂しそうなほど大きく高鳴った。ドキドキが自分にも聞こえるほど、心音が響いている。