軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


「んっ」


 こうして唇を重ねるたびに、心臓が彼なしでは生きていけないと訴えている。何度も啄まれるたびに熱を帯びて、思考がまとまらなくなる。


(なにも考えられない……)


 頭に唯一残るのは、彼が愛しいというたったひとつの想いだけ。このまま、頭の先から蕩けてしまうのではないかという恐ろしさと、身を委ねてしまいたいという欲が混ざり合う。


「もう足りたか?」


 扇情的に息を漏らしながら尋ねられ、肺いっぱいに甘美な香を吸い込んだような眩暈を覚えた。


(あなた相手だと、飽くことなく求めてしまう)


 それを言葉にするのは恥ずかしくて、羞恥に赤面してしまう。そんなセレアの顔を見たレイヴンは、グッと息を詰まらせると懇願するように潤んだ瞳で見つめてくる。


その誘惑するような視線が体の中に入り込むみたいで、ゾクリと甘く震えた。


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