軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う
「あまり煽ってくれるな。大事にしなければと何度も心に言い聞かせているのだから」
「……はい?」
(煽る? いつ、どこで私がそのようなことを?)
呆気に取られていると、レイヴンは盛大なため息をついた。笑顔の中に僅かな困惑を混じらせた彼は、セレアの長い銀髪を指先に絡めると弄び始める。
「この世のものとは思えないほどに美しいお前が、こんなにも鈍いと俺の心労が絶えん」
「美しいのは、レイヴンの方です」
何度、彼の神聖さに息を呑んだかわからない。だが、それを聞いたレイヴンは怪訝そうに眉を寄せた。髪に触れていた手が腰に回り、セレアの体はさらに引き寄せられる。