軍人皇帝はけがれなき聖女を甘く攫う


 救われたい、神の恩恵を受けたい。こういった人間の欲深さが、この獅子の自由を奪ったのだ。人間とは、なんて罪深い生き物なのだろうと思う。彼らの子孫に、そして目の彼自身に詫びても償いきれない。


「私たちは傲慢な人間の贄ね」


 特別な力なんてない。ただの獅子と人間の女だというのに。


 セレアは憂いを滲ませた瞳で獅子神の赤い目を見つめ返す。その頭を撫でれば気持ちよさそうに目を細め、鼻を擦りつけてきた。


 獅子神とはかれこれ八年のつき合いになる。この神殿に来てからずっと一緒にいたからなのか、触れてもいきなり噛みつかれるようなことはない。


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